2017年 11月 12日
第54回 秋のうた
詩的芸能小屋<ほのか座> 第54回
秋のうた
司会―本日もようこそいらっしゃいました!皆さま方のお元気そうなお顔を拝見するのが、なによりもの私の薬でございます。
どうもありがとうございます。秋もすっかり深まってまいりましたね。目には紅葉、そして口には美味の出揃うこの季節。
それぞれに堪能なさっておいでと存知ます。
そこで当<ほのか座>としましては、お耳から皆さまのお心へと、バンドをしたがえて秋のうた特集をご用意いたしました。
お馴染みの流浪詩人による詩と、それに寄り添うシンプルでお洒落なジャズの流れに、しばし芳醇な時間を過ごしていただけ
ればと、願っております。バンドは、熟年ピアニストのリードによるナイト・フェローの皆さんです。
では、どうぞ!
♫
野の響き
オルガン弾きは 聴いたか
この夕べ コスモスの野に
青銅の行商人が
斃れこんだ 交響を
♪♫…
ひとりぼっちの神
♪―
朝の秋
砂山に
青魚の頭一個 を 置きざりに
巨きなひとが
往ってしまった
♫
荒野の女(ひと)
♫ ♪
風のなか
小鳥を抱くように
両の掌に乳房をかかえて
女は前方を見つめている
返事はない
なにもやって来ない
ひとり荒野で 声を放つ―
♫ ♬ ♪―
ほととぎすの日
♪
歩いていたら足もとに 一株のほととぎすが咲いていた
濃紫の花弁をくぃと反らせた小花のむれ
つとかがみこんで しばらく見入っていた―
あのとき かたわらに
誰かが立っていたような気がする
コンクリートのベッドから滑り落ちた朝 だったが
佳い日となった
♪
秋のジョーカー
♪ ♬♬
柿喰えば あけび喰らえば
笑い声
木もれ日さす径(こみち)を
舞踏家 ひとり
おどりながら駈けていったよ
♬♬♬…
司会―ありがとうございました!
みなさま、外はもう、さびさびと透明な夜気が降りております。
お風邪など召さないように、どうぞ気をつけてお帰りくださいませ。
来月、又のご来場をお待ちしております。
*(途中から太字になって直せなくなりました。申し訳ございません)
by geinou0118
| 2017-11-12 17:27