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第54回  秋のうた


            詩的芸能小屋<ほのか座>   第54回

                  秋のうた

司会―本日もようこそいらっしゃいました!皆さま方のお元気そうなお顔を拝見するのが、なによりもの私の薬でございます。
   どうもありがとうございます。秋もすっかり深まってまいりましたね。目には紅葉、そして口には美味の出揃うこの季節。
   それぞれに堪能なさっておいでと存知ます。
   そこで当<ほのか座>としましては、お耳から皆さまのお心へと、バンドをしたがえて秋のうた特集をご用意いたしました。
   お馴染みの流浪詩人による詩と、それに寄り添うシンプルでお洒落なジャズの流れに、しばし芳醇な時間を過ごしていただけ
   ればと、願っております。バンドは、熟年ピアニストのリードによるナイト・フェローの皆さんです。
   では、どうぞ!

 ♫
                野の響き

     オルガン弾きは 聴いたか
     この夕べ コスモスの野に
     青銅の行商人が
     斃れこんだ 交響を
                         ♪♫…

              ひとりぼっちの神

 ♪―
     朝の秋
     砂山に
     青魚の頭一個 を 置きざりに
     巨きなひとが
        往ってしまった
                              ♫

              荒野の女(ひと)
 
 ♫ ♪
     風のなか
     小鳥を抱くように 
     両の掌に乳房をかかえて
     女は前方を見つめている
        返事はない
        なにもやって来ない

     ひとり荒野で 声を放つ―
                          ♫ ♬ ♪―

              ほととぎすの日
 ♪

     歩いていたら足もとに 一株のほととぎすが咲いていた
     濃紫の花弁をくぃと反らせた小花のむれ
     つとかがみこんで しばらく見入っていた―

         あのとき かたわらに
         誰かが立っていたような気がする

     コンクリートのベッドから滑り落ちた朝 だったが
     佳い日となった
                               ♪

              秋のジョーカー
 ♪ ♬♬
     柿喰えば あけび喰らえば
     笑い声
          木もれ日さす径(こみち)を
             舞踏家 ひとり
                おどりながら駈けていったよ
                                ♬♬♬…

 司会―ありがとうございました!
    みなさま、外はもう、さびさびと透明な夜気が降りております。
    お風邪など召さないように、どうぞ気をつけてお帰りくださいませ。
    来月、又のご来場をお待ちしております。

                             *(途中から太字になって直せなくなりました。申し訳ございません)


 
     
   

   
  

by geinou0118 | 2017-11-12 17:27